隠れ家みたいなかき氷屋さん

市原市小草畑。
細い山道を進んでいったところに、小さな「P」の文字があります。
車を止めて矢印の案内に従って登っていくと、手書きの看板が見えてきました。

そこにあるのは、2025年5月にオープンした「かき氷カフェ福来　FUKU」さん。
昔懐かしい古民家そのもののお店です。

お店を切り盛りするのは、川音隆一さん・治美さんご夫妻。
2025年2月に市原への移住を決め、5月にカフェをオープンされました。

この日のオススメを聞くと「いちじくが美味しいですよ」とのこと。
「いちじくの里で美味しいいちじくを見つけてたくさん購入したの。何も手を加えずに潰しただけでこの甘さ！」と、治美さんは語ります。
その言葉の通り、繊細な氷といちじくの甘さだけで口の中に幸せが広がる美味しさです。

中にもたっぷりのいちじくが！

元々は埼玉の市街地でお店をやっていたという川音さん夫妻。
この地への移住を決めたきっかけを伺いました。
「ずっと古民家を探していて、たまたまインスタで流れてきたら内見会が３日後にあって。行ってみたら一目惚れしちゃいました」と、治美さん。
「俺だけだよね、悩んでたの。ここでお店を出すって集客は大丈夫なのか、本当にやっていけるのか、とか」と隆一さんは笑います。

この日の店内では、若い女性グループが楽しそうに写真を撮りながらのんびりとお喋りをしていました。
「オープン後の１週間くらいは、本当に誰も来なかった。しばらくして千葉のグルメを紹介しているインスタグラマーの方が来てくれて、その方が紹介してくれた後にかき氷好きの人が来てくれるようになった感じです。でも、口コミの力も大きいと思う。地元の人とかき氷好きの人が来てくれるようになって、お客さんが来なかったらどうしようという不安は解消されました」

「おばあちゃんちに来たみたい！」と写真をたくさん撮られていたレトロな扇風機。

レトロな家具は物件の元所有者のもので、雰囲気が良いのでそのまま使用しているとのこと。
お店の名前の「福来」は昔飼っていた猫の名前だそうで、猫のクッションは子どもにも大人気だそうです。

市原市民でも知らない！？

「市原市ってけっこう大きいんですよね。小草畑って言っても、市内の人にさえなかなか通じない。もう諦めて『高滝湖の近く』って言ってます(笑)」と、隆一さん。
移住してきて驚いたことは、周りがとにかく静かだということ。
「夜は虫と鳥の声しか聞こえない。代行やタクシーが通っているのも見たことがない。静かすぎて不安になることもありました」

お酒好きなお二人。
外食するとどちらが運転して帰るかのバトルになるそうです。

「でも、このまえ埼玉に行ってから戻ってきたとき、この静かさでなんかホッとした感じがあった。仕事場と家が一緒だから切り替えが難しいところはあるけれど、これから市原の遊び場も開拓していきたい」と語ってくれました。

「不便なこともあるけれど、春は裏山で筍がたくさん取れたし、庭の梅の木で取れた実でシロップも作りました。こっちならではの楽しみ方がたくさんあります」と治美さん。
「周りには民家も2軒しかなくて。花や野菜をもらったりと仲良くしてもらっています。お客さんで移住の先輩みたいな人もいて、一緒にご飯を食べに行ったりしています」とのこと。
先輩に教えてもらった虫対策は、やはり効果が抜群だったそうです。

移住を考えている人に一言！

「勢いです！」と、勢いよく答えてくれたのは治美さん。

「いきなり購入となると大変なこともあるけれど、賃貸という選択肢があって良かったです。頼れる人や窓口もあるし、あとはやるだけです(笑)」

「市原の人は、地元愛が強いと思う」と語ってくれたのは隆一さん。

「若い人もいろいろ街のためにやっていてすごいなぁと思う。あと、お喋りな人が多いような気がする。地元の人と一緒に小湊鐡道に乗る機会があったんですけど、長い移動時間も気にならないくらいにずっと喋ってくれました(笑)」

自身も”ごーらー”（かき氷を愛する人）であるという治美さん。
「たぶん年間700杯くらい食べています。かき氷は冬が美味しいんですよ！」と熱く語ってくれました。
「氷の状態が良いですからね。ぜひこれからの季節もかき氷を味わって頂きたいです」

福来さんでは10月からランチも始まるそうです。
冬の美味しいかき氷、ぜひ味わってみたいですね。

リンク：かき氷カフェ 福来 FUKU Instagram